禮奇亭備忘録

戦後教育の歩みと授業づくりをめぐる手控え

定期テストの仕組みと攻略法――生徒から見たリアル(第2回)

生徒にとっての鏡―構造と攻略

生徒にとっての「敵」は、単なる難問ではありません。

「敵」は「問い」の構造そのものであり、意味づけの「型」を問う仕掛けです。

そして記述問題は、思考の深さと伝達の制度を試す鏡なのです。

例えば国語科の定期テストについて考えてみましょう。

「資料を読み、あなたの考えを述べなさい」という設問は、感情や経験を語る場ではありません。論理的な意味づけを求める場なのです。

そこでは、要約・対比・因果・視点の転換等の、思考の「型」が問われます。

攻略とは、構造を理解すること。問いの型を読み解く力は、単なるテスト対策ではなく、世界と関わるための思考の技法なのです。

生徒が「敵を知る」とき、学びは点数を超えて意味を帯びてきます。

 

もう少し具体的に考えてみましょう。生徒にとっての「敵」の攻撃パターンすなわち出題形式(問いの型)は大きく分けて三つあります。

「選択肢問題」と「短答問題」と「記述問題」です。これらの問題は、「1対1対応」の原則に従って出題されています。

出題形式の分類と「1対1対応」

「1つの問いによって測定したい力は1つ」ということです。

これは「選択肢問題」と、多くの「短答問題」がこれにあたります。

教師の側から見ると、採点時の労力軽減という点からも、一つの問いに答えも1つというのが望ましいでしょう。

 

短答式の場合、字数制限をかけるとか、使用する語彙を指定するとかといった方法で、簡単に答えを制限できます。

 

選択肢問題の場合、高校入試では4択が基本です。選択肢を全部「ア」と書いても一定割合で正解してしまいます。それ以上に「ハズレ2、フェイク1、正解1」の割合で問題を作成することが多いですから消去法を使えば正解の確立を1/2以上にすることは簡単なことです。

しかし消去法のような解答テクニックを身につけることは、本当に各教科が望む「学力」が身についたとは言えません。

 

そのため現在は、記述問題が増加する傾向にあります。

これに対する対応はどうしたらよいのでしょう。

記述問題とダブルバーレル質問

ダブルバーレル質問とは、一つの質問文の中で複数の異なる論点や要素について同時に尋ねる質問のことです。
二重質問とも呼ばれ、回答者がどちらの内容に答えるべきか迷ったり、混乱したりするため、正確なデータ収集を妨げると言われています。

 

例えばアンケートで「このラーメンは麺がシコシコして美味しかったですか」というように、麺の食感が良かったかということと、美味しかったかという2つの内容について聞くようなケースを言います。

しかしこの質問はどちらの内容に答えて良いのか迷うため「良い問題」ではありません。このような場合は「麵の食感は良かったですか」と「美味しかったですか」というように質問を2つに分けます。

 

「○字以内で書きなさい」というような記述問題も1対1対応にはなりません。上のアンケートのように、同時に複数の力をみる場合があるからです。

記述問題は、解答の中に書かなければならないポイントが複数あり、かつ、誤字脱字や文のねじれ、文末表現等、複数の要素が採点対象となっています。

ですから、必ずしも1対1対応、というわけにはいかないのです。

この点から考えると、記述問題の多くはダブルバーレル質問と言えるかもしれません。

記述問題の増加と学力調査

実は「読解力」と呼ばれる問題の多くがこのような記述問題で、ここ数年の入試問題でも配点が急激に高まっています。

そのため単元プリントやワーク等では、1年生から記述問題が出題されるようになりました。また毎回定期テストでも一定割合以上提出されるようになりました。

これは記述問題に慣れさせ得点力を高めていくためのものです。

全国学力・学習状況調査でも、記述問題の解答率・正解率が共に低かったようです。このことからも記述問題に苦手意識をもっている人が多いのではないでしょうか。

 

では、どのようにしたら記述問題を攻略したらよいのでしょう。

次回は、記述問題に立ち向かうための「型」の磨き方を探っていきましょう。